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雲の上の
カーチャ
神々の
ふかきかわき
いれられざる者
楽園の午後
 


 あなたは今、楢井春生という名の迷宮の入り口に立っています。その迷宮には物語の山、吟唱の丘、創造の泉、そして更には水底に砂に混じって砂金がさらさらと妙なる響きを奏でながら流れる小川のせせらぎなど、様々な風景が光と影の交響楽に彩られて点在し、霧に包まれた広大な空間がその合間を覆っています。その霧の奥底には茨と木々の鬱蒼と茂った暗い森が広がっていて、そこかしこに怠惰の沼、妄想の洞、不安の溝といった危険な場所があります。地震によってできたクレパスもあれば、古代に隕石が落下してできた巨大な陥没もあります。怪鳥が鋭い鳴き声を発しながら森のしじまからしじまをかき乱して渡ってゆきます。そして更には奇怪な姿をした様々な魔物が徘徊していて、迷い込む獲物たちを噛み殺し、むしゃぶろうと待ち構えています。


 森の中には(A)から(Z)までの地番についた回廊があります。順番は問いませんがすべての回廊を通り過ぎれば光の中に出られます。一つの回廊から別の回廊に移るときはとても危険です。魔物と沼と洞と溝にご注意ください。魔物の遠吠えが聞こえたら再び最寄の回廊に逃げ込みなさい。噛み殺されるかもしれません。もっとも奇怪な姿をした魔物を見たものは石になります。足元に用心しなさい。迷ったものたちの骨が累々と横たわり、所々に人間の姿をした石が崩れ落ちています。洞に迷い込み、沼と溝に落ちたものは二度とそこから出ることはできません。迷宮の中にあるたくさんの回廊の一つ一つはそれぞれに人工の美を競い合っています。繊細優美な形状のものもあれば荘厳な建築物もあり、彩りも鮮やかなものもあれば淡色のまま背景に溶け込んだものもあります。迷宮に迷いながらそこから逃れたいとひたすら願いながら己の証を残しておきたいという思いに駆られて匠たちが技を凝らして築き上げたものです。己の証を残したい、自らを顕したいという衝動的な欲求に駆られながら、彼の欲求は内に沈潜してゆき、いつしかそれは生き物としての生き永らえようとする欲求と結びついた、その成果の数々を今も私たちは見ることができるのです。
 

 

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楢井春生またはX氏の独白、または二人の会話

 象徴と比喩によってほんのささやかに触れられた楢井春生の姿をもっとはっきりと確かめてみたいとお思いの方はこのページへとお進みください。あなたの好奇心が仮に比喩の言葉の雄弁さからもたらされたにせよ、あなたは奸智に長けた何者かにたぶらかされているわけではありません。楢井春生の心に内在する執着心のなせる業だとあなたはそのページで知ることになるでしょう。
 



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